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有名なダイヤモンド

世界最大のダイヤモンドは、1905年、南アフリカのプレミア鉱山で発見された「カリナン」で、3106カラットもありました。
この原石は大きな9個の石と96粒の小さな石にカットされ、一番大きなダイヤモンドはイギリス王室の王しゃくに飾られています。
呪われたダイヤモンドと人びとに恐れられた「ホープ」は、美しい濃いブルーのダイヤモンドです。持ち主が変わるたびに、つぎつぎと不幸に見舞われる、怪奇な物語が語りつがれています。

コ・イ・ヌール

コ・イ・ヌール
コ・イ・ヌールを中央にあしらった
英国皇太后の王冠

歴史上世界で最も古くて有名なダイヤモンドは、サンスクリット語で光の山を意味する「コ・イ・ヌール」です。インド神話時代の伝説では、ある時、一人の貧しい像使いの娘が聖なるヤムナ川の葦の間で、黄金の鎧に身を包み、「光る石」 を額につけた子供を発見しました。
その後、この子供は太陽神スリヤとカウラヴァス家王女の間に生まれたカルナであることが明らかとなり、宮廷に迎え入れられ王子と一緒に育てられました。

その後、しばらくして王位継承問題に端を発して、血で血を争う果てしの無い戦争が続きました。「光の石さえ身につけていれば不死身である」 と過信した年若いカルナは、無謀にも敵最高の勇者アルジュナに一騎打ちを挑み、神の加護にも見放され殺されました。カルナの額から 「光の石」 は地にころがり落ちました。

カルナの死体に供物を捧げにきた若い女性が 「光る石」を発見し、村のバラモンに渡しました。バラモンは寺院に祀ってあるシバ神の額の第三の目にこの石をはめ込みました。ある時、泥棒が 「光る石」 を盗もうと寺院に忍び込みました。しかし、翌朝その泥棒は死体となって発見されたのです。

バラモンの言い伝えによると 「この光る石を、無事に身につけるものは神と女性だけである」
とのことでした。「コ・イ・ヌール」が歴史的に記録されたのは、1304年マルク王の所有物としてです。それ以降、幾多の王侯貴族達の手を経て、1526年ムガール帝国を建てたバーブルに征服され殺された、スルタン、イブラヒーム・ロディの遺児達の献上物の中にこのダイヤモンドも含まれていました。

ペルシャの王位を奪い取った将軍ナディル・シャーは、ムガール帝国最後のスルタン、ムハメッド・シャーを攻め、1739年首都デリーを落としました。この時、彼は莫大な戦利品の中から巨大なダイヤモンドを見つけて「コ・イ・ヌール(光の山)」と叫んだことからこの名が付きました。しかし、全盛を誇ったナディル・シャーも1747年に、4人の官吏によって暗殺されました。

「コ・イ・ヌール」 は、その後多くのスルタンたちの手を転々と渡り、最後にシークの王、ランジート・シングのものとなりました。しかし、彼は第二次シーク戦争によってイギリス軍に敗れパンジャブ地方はイギリスの植民地となりました。そして、1850年 「コ・イ・ヌール」 はヴィクトリア女王に献上されました。

1851年、ロンドン万国博覧会で 「コ・イ・ヌール」 は水晶宮で陳列されました。 しかし、インド式のカットが施されたこの石は不評を買い、その後186カラットから108.95カラットに再カットされてしまいました。

迷信深いヴィクトリア女王は 「男の国王が相続した場合には、その妻しか身に付けてはならない」との遺言を残しました。現在でも、その遺言は厳格に守られ、戴冠式や重要な儀式の時以外はロンドン塔に厳重に保管されています。

オルロフ

オルロフ
ロシアの王笏にはめこまれたオルロフ

18世紀中ごろ、一人のフランス人脱走兵がインドのマドラスのスリランガムにやってきました。
彼は町の寺院に祀られていたスリランガ神像の二つの目に、ダイヤモンドがはめ込まれていることを知りました。その片方は特に素晴らしく、純粋な、194.75カラットの石は、ほんのり青緑色を帯び「海の太陽」と呼ばれていました。

そして、バラモンの信頼を得て寺院での役務を許されたフランス人脱走兵は、まんまとそのダイヤモンドを盗み出すことに成功しました。そのダイヤモンドは次々と人手に渡るごとに値を上げてゆき、ロンドンでペルシャ人宝石商ホジャーの手に渡る時には法外な値段になっていました。

そこで、ホジャーは何とかそのダイヤモンドを高値で売ることをもくろみ、ヨーロッパ中を行き来しましたが、なかなか売ることができませんでした。ちょうどその頃、ロシアのグレゴリー・グレゴリーヴィッチ・オルロフ公は、失恋の痛手に打ちひしがれながらヨーロッパを旅行していました。

なぜなら、それまで彼を寵愛してくれたロシア女帝エカテリナ2世の愛は、今では若くてハンサムな男に注がれてしまっていたからです。その時オルロフ公は、ペルシャ人宝石商ホジャーと出会い、まばゆいばかりのダイヤモンドを見せられました。彼はこのダイヤモンドを献上すれば女帝は再び彼に愛を注いでくれるであろう、との思いから40万ルーブルもの途方も無い金額を、支払いました。

ロシアに戻ったオルロフ公は、早速エカテリナ2世にダイヤモンドを献上したところ、女帝は瞬きもせずそれを受け取りました。その話を聞いたオーストリア女帝のマリア・テレサは激怒したそうです。女帝は、しかし一度も身に付けず、王笏(しゃく)にはめ込んでしまいました。オルロフ公はやがて気が狂い、収容所に隔離されてその生涯を終えました。

その後ダイヤモンドは、女帝に見捨てられた悲劇の愛人の名前を取って「オルロフ」と名付けられました。

ホープ

ホープ
『呪われたダイヤモンド』の異名を持つホープ

世界一有名な呪われたダイヤモンドは 「ホープ」と名付けられた、45.52カラットの濃いブルーのダイヤモンドです。このブルー・ダイヤモンドにまつわる伝説ほど数奇で複雑怪奇なものはないでしょう。

最初の伝説は1642年、宝石商タベルニエがインドで112.5カラットの大きなブルー・ダイヤモンドを見せられたところから始まります。タベルニエによって持ち帰られたブルー・ダイヤモンドは、1668年 "太陽王"ルイ14世に買い取られました。その後、タベルニエの息子が親の財産を遣い尽くしたため、年老いたタベルニエは没落し、再起を期してインドへ向かう途中八つ裂きにされ、犬に食べられてしまいました。

ルイ14世によってフレンチ・ブルー・ダイヤモンドと名付けられたダイヤモンドは67.50カラットに再カットされ、これを身に付けた人々、ルイ16世、マリー・アントワネットと彼女の友人、ランバル王女はすべてフランス革命によって断頭台の露と消えました。

その後、革命の混乱によって行方の分からなくなったブルー・ダイヤモンドは1830年、ロンドンで競売され、買主である銀行家の"ホープ"という名前が付けられました。
その後、このダイヤモンドを手に入れたロシア王子は、愛人の踊り子をピストルで撃ち殺しました。

さらに、トルコ皇帝アブドル・ハミド2世は「ホープ」を手に入れ、寵姫ゾベイダに贈ったものの、その後彼女を殺してしまいました。それを買い取ったアメリカの富豪エドワード・B・マクリーンもタイタニック号と共に沈んでしまいました。

幾多の不吉な伝説 (事実とフィクション) に彩られた「ホープ・ダイヤモンド」は、1949年アメリカ有数のダイヤモンド商ハリー・ウインストンによって17万9920ドルで買い取られました。

その後、この"呪われたブルー・ダイヤモンド"は、彼によってワシントンのスミソニアン博物館に寄贈されました

リージェント

リージェント
1722年に製作されたルイ15世載冠式用の王冠

1698年に発見されたインド最後の大粒ダイヤモンドは、マドラス総督トーマス・ピットによって買い取られ、ヨーロッパに送られました。

この石はロンドンのカット職人によって、140.5カラットの見事なダイヤモンドに研磨されました。その後、ピットはヨーロッパ中の王侯貴族に売り込みましたが、値段が高すぎて誰一人買うものはいませんでした。

1717年、フランスの執政 (リージェント) だった、オルレアン公によって高額でこの石は買い取られたため、「リージェント」と呼ばれるようになりました。

1722年、ルイ15世戴冠の時、王冠に付けられた宝石の中で、もっとも大きく美しく輝いていたのが 「リージェント」 でした。

その後、ルイ16世やマリー・アントワネットも 「リージェント」 を身に付けました。フランス革命の混乱で、「リージェント」 は一時行方不明になりました。

その後、発見された 「リージェント」 は革命戦争のための借入金の担保となりました。この資金によってナポレオンが率いる革命軍は勝利し、以後、執政ナポレオンの護符として彼の執政刀に飾られました。

「リージェント」 はナポレオンが皇帝の地位に就いたのちまで彼の帝剣の柄を飾りました。
ナポレオンがエルバ島に流されたあと、「リージェント」 は妻マリー・ルイズ皇后からルイ18世に渡り、1824年シャルル10世の王冠を飾りました。
その後、ナポレオン3世の時代には、ウージェニー皇后の王冠や髪飾りに付けられました。

現在では、この数奇な運命をたどったフランス一のダイヤモンドは、ルーブル博物館に展示されています。

カリナン

カリナン1 カリナン2
カリナンI (530.2カラット)英国の王笏にセットされているカットされたダイヤモンドでは世界最大の重量をもつ カリナン原石 (3106カラット)とそれからとれた主な9個のダイヤモンドのレプリカ

1905年、南アフリカのプレミア鉱山で、世界最大の3106カラットのダイヤモンド原石が発見されました。プレミア鉱山の発見者であり経営者でもあったトーマス・カリナン卿にちなんで
「カリナン」と名付けられた原石はトランスバール州政府によって買い取られました。

1907年植民地州政府は 「カリナン」 を英国王エドワード7世に献上しました。エドワード7世は、当時世界一といわれたアッシャー兄弟にカットを依頼し、原石はオランダのアムステルダムに送られました。そして、9個の大きな石と96個の小粒な石とにカットされました。

世界一の大きさの「第一カリナン」は、530.2カラットのペア・シェイプ(梨型)で"アフリカの偉大な星" と名付けられ、英国王室の王笏(しゃく)を飾りました。

「第二カリナン」は、317.4カラットのクッション・カットにカットされ王冠に付けられました。この二つはロンドン塔で展示されています。以下、

「第三カリナン」(梨型) 94.4カラット
「第四カリナン」(クッション・カット) 63.6カラット
「第五カリナン」(ハート型) 18.8カラット
「第六カリナン」(マーキーズ型) 11.5カラット
「第七カリナン」(マーキーズ型) 8.8カラット
「第八カリナン」(オーバル型) 6.8カラット
「第九カリナン」(梨型) 4.39カラット

と続きます。エリザベス女王は時折、これらのダイヤモンドを身に付けています。

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