傷も二人の歴史。プラチナリングの「10年後の姿」と、新品同様に蘇らせる職人の技
ショーケースに並ぶ指輪は、一点の曇りもなく輝いています。
「この輝きは一生続くの?」と聞かれれば、宝石屋としての正直な答えは「もちろんそんな事はありませんよ。」です。
毎日着けていれば、ドアノブに当たったり、食器洗いでカチャカチャしたり、必ず「小傷」がつきます。
しかし、がっかりしないでください。貴金属(プラチナやゴールド)の素晴らしいところは、傷ついて古びても、決して「劣化(ボロボロ)」にはならず、味わい深い「エイジング(経年変化)」になるところです。
今回は、購入から10年後、20年後の指輪がどう変化するのか、そして職人の手でどう蘇るのかについてお話しします。
1. 10年後の指輪は「艶消し(マット)」のような落ち着きが出る
購入時は鏡のように顔が映る「鏡面仕上げ」の指輪も、10年も着けっ放しにすると、無数の細かな小傷によって光沢が鈍くなり、白っぽくマットな質感に変化します。
実は、この状態を好むお客様も少なくありません。
新品の時のギラギラした輝きとは違い、金属の角が取れ、指に馴染んだその質感には、二人が過ごしてきた10年という歳月の重み(=歴史)が刻まれているからです。
革製品やデニムと同じように、指輪もまた、二人だけの色に育っていくのです。
2. 「安物」と「本物」の違いは、10年後に出る
ここで重要なのが、素材の質です。
安価なアクセサリー(真鍮やシルバーにメッキをしたもの)の場合、10年も経てばメッキが剥がれ、地金が見えて黒ずんだり、錆びたりしてしまいます。これは「エイジング」ではなく「劣化」です。
一方、ブリリアントジュエリーが扱うようなプラチナ(Pt900/Pt950)や18金(K18)は、中までその金属が詰まっています。
どれだけ傷ついても、変色したり錆びたりすることは基本的にはありません。表面が曇ることはあっても、金属としての資産価値や美しさの根幹は揺るがないのです。
3. タイムマシーンのように蘇る。「新品仕上げ」の魔法
「傷も歴史」とは言っても、「結婚式に呼ばれたから綺麗にしたい」「結婚20周年の記念にリフレッシュしたい」という時もあるでしょう。
そんな時こそ、職人の出番です。
「新品仕上げ(磨き直し)」というメンテナンスをご存知でしょうか?
表面の小傷の深さ分だけ、ミクロ単位で金属の表面を研磨し、再び鏡面を出す作業です。
これを施すと、大げさではなく「本当に買った当時の輝き」に戻ります。お客様にお渡しすると、「えっ!買い直したみたい!」と驚かれることがほとんどです。
メッキ製品だと剥がれてしまうためこの作業はできませんが、本物の貴金属だからこそ、何度でも生まれ変わることができるのです。
4. メンテナンスの頻度は?
「頻繁に磨いたほうがいいの?」と聞かれますが、研磨はほんの僅かですが金属を削る作業ですので、半年や1年に一度など、あまり頻繁に行う必要はありません。
・普段のお手入れ:中性洗剤と柔らかいブラシで油汚れ(くすみ)を落とすだけで十分輝きは戻ります。
・新品仕上げ:5年〜10年の節目や、冠婚葬祭などのタイミングで行うのがおすすめです。
まとめ:安心して、使い倒してください
指輪の傷を気にして、箱にしまい込んでしまうのが一番もったいないことです。
しっかりとした素材で作られた指輪は、頑丈です。そして、いざとなれば私たち職人がいつでも新品同様の輝きに戻すことができます。
どうぞ傷を恐れず、日々の生活の中でガンガン使い込んでください。
10年後、傷だらけになった指輪を持って里帰り(メンテナンス)に来てくださることを、ブリリアントジュエリーは楽しみにしています。その傷の分だけ、二人の絆が深まっている証拠なのですから。