『葬送のフリーレン』の鏡蓮華バングルをプラチナ・18金で作ったらいくら?宝石屋が本気で計算してみた
『葬送のフリーレン』の鏡蓮華バングルをプラチナ・18金で作ったらいくら?宝石屋が本気で計算してみた
以前、鏡蓮華リングの価格を計算した記事を書きました。あれを読んでくださった方から「バングルも計算してほしい」という声をいただいたので、今回はバングル版です。
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シュタルクがフェルンの誕生日に贈ったあのバングル。作品を知らない方のために一言で説明するなら、「強面の戦士が不器用に選んだプレゼントが、実はちゃんと意味のある贈り物だった」という、地味に泣けるシーンで登場するアイテムです。
なぜ鏡蓮華バングルはこれほど人気なのか
鏡蓮華には「久遠の愛情」という花言葉があります。フリーレンがヒンメルから贈られた指輪と同じモチーフだということに気づいているファンも多く、そこに気づいた瞬間にグッとくる構造になっています。
シュタルクが意識して選んだのか無意識なのかは作中で明言されていませんが、だからこそ余計に刺さる。単なるファッションアイテムではなく、作品のテーマである「時間」「記憶」「絆」が込められたアイテムとして、ファンの間での支持が高い理由はそこにあると思います。
このバングル、デザインと寸法は?
参考にした資料によると、内径5.8cm、幅1cmのオープンバングルです。中央に鏡蓮華モチーフ(蓮の花をかたどった立体的な飾り)、その両脇に丸い球体、アームには細かい彫りが入っていて、両端にも小さな球体が付いています。
多くの人に適用出来るオープンバングルという形の方が腕も入れやすいし、実用性は高いと思います。
パッと見はすっきりしていますが、要素が多い。中央の蓮モチーフは立体感があるし、アームの彫りは曲線的な模様です。「シンプルに見えて、実は作るのが大変」という典型的なデザインです。
プラチナで作ったらいくら?
まず地金の重さから計算します。幅1.1cm、肉厚をしっかり取った場合、プラチナバングルに必要な地金は35g前後になります。現在のプラチナ相場は1gあたり10,000円前後なので、地金代だけで35万円です。
そこに中央の鏡蓮華モチーフと球体の部品代、彫り加工代、仕上げ代が乗ります。合計すると、製作費込みで100万円前後というのがボクの概算です。
18金(K18WG)で作ったらいくら?
ホワイトゴールドで作る場合、地金の重さはほぼ同じです。ただ、現在の金相場が非常に高い。執筆時点で1gあたり25,000円を超えています。「プラチナより安くなるはず」と思っている方も多いのですが、今の相場だとK18WGとプラチナで大きな差はありません。
地金代だけで75万円前後、製作費込みで180万円前後になります。むしろプラチナより高くなるケースもある、というのが今の現実です。
シルバーという選択肢もあります
「プラチナや18金は現実的じゃない」という方には、シルバー(SV925)という選択肢もあります。シルバーは地金自体が金やプラチナと比べて段違いに安い素材です。重さは15〜20g前後、地金代は数千円レベルです。
ただし、一点もののオーダーメイドである以上、データ制作費・試作費・加工費が乗ります。シルバーでも25〜30万円前後が現実的な価格帯です。「素材が安いから安くできる」とはならないのが、オーダーメイドの構造です。
なぜそこまで高いのか――バングルと指輪は別物です
「リングより高いのはわかるけど、なんでそんなに差が出るの?」という疑問に正直に答えます。
指輪は幅2〜3mmあれば強度は問題ありません。でもバングルは違います。同じ2〜3mmの幅で作ると、針金と同じでフニャフニャになります。手首に通すアクセサリーなので当然ですが、最低でも幅10mm程度は必要です。
今回のデザインは11mmなのでちょうどその境界線上にあります。単純計算で、素材量は指輪の3倍以上になります。
さらに、アームに強度を持たせるには肉厚も十分に取らないといけない。薄く仕上げれば見栄えはいいですが、強度が保てない。ここは材料費に直結する部分です。
3Dプリンターを使う理由――精度と耐久性の両立
中央の鏡蓮華モチーフと左右の球体は、3Dプリンターを使って製作します。手彫りや鋳造では再現しにくい細かいデザインも、3Dプリンターなら精密に形にできるからです。
ただし、モチーフだけを別パーツとして後から接合すると、耐久性に問題が残ります。そのため、バングル本体は全体をひとつの部品として製作し、その上にモチーフをしっかり接合する構造にします。
こうすることで、デザインの精度と強度の両方を確保できます。一見シンプルな工程に見えて、実際には「どこで分けて、どこで一体化するか」の判断が仕上がりを左右します。
「実際に作ってみたら」の話――試作コストが現実を教えてくれる
もう一つ、見落とされがちなコストがあります。試作コストです。
アニメのデザインをそのまま図面に起こして作っても、実際に完成したものを手首に着けてみると「ここがおかしい」という問題が必ず出てきます。中央モチーフが重すぎてバングルが回る、彫りの深さが強度に影響する、開口部の調整が難しい……といった問題が、作ってみて初めてわかる。
それを修正して、また作り直す。これを何度か繰り返して、やっと「製品」になります。その試作・修正のコストはすべて最終的な価格に含まれます。ボクは職人ではないので職人から聞いた話になりますが、「100万円は格安に感じるレベル」というのは大げさではありません。試作の材料費だけでも馬鹿になりません。

まとめ――鏡蓮華バングルの価格一覧
鏡蓮華バングルの製作費をまとめると、シルバーで25〜30万円前後、プラチナで100万円前後、K18WGで180万円前後です。これはオーダーメイド一点製作の価格であり、デザインへのリスペクトも、職人の試行錯誤も、全部込みの数字です。
「高すぎる」と思うか「意外と現実的」と思うかは人それぞれです。ただ、ジュエリーとしての強度と品質を保とうとすると、これが現実的な価格帯になります。
もし本気で「作ってみたい」という方がいれば、一度ご相談ください。「そのデザインでこういう問題が出ます」「こう変えれば現実的になります」という話も含めて、お答えしますのでいつでもお問い合わせくださいね(^^)