婚約指輪を作る工程なのですが、どうやって作るのかと私自身も思っていました。
指輪の作り方は今回のような鍛造と、鋳造という型を使う製作方法があります。
宝石職人が作る製作方法はそれぞれ工程は違うかもしれませんが驚きの連続です。
鍛造製法に鋳造品を組み合わせた製作方法などもありますが、今回は鍛造製法の紹介になります。
プラチナの延べ棒から婚約指輪へ
このプラチナの塊を熱して叩く!納得いくまで何度でもです。そして、先端を丸く整形していきます。
ダイヤモンドを留める台座を作ります。私達の専門用語では「石枠」といいます。
丸く整形したプラチナに軽く切り込みを入れます。この切れ込みは爪を作る時の基準になります。
見ていると簡単そうに見えるんですが、実は物凄く地金って固いんです!凄い力が入ってて少し切るだけでも腕がしびれます。職人さんは慣れているので大丈夫です。
電気ドリルで真ん中に穴を開け、マジックで線を入れ糸ノコで切り込みを入れます。しかし、全部を切ってしまうのではなく少し斜めに切り込みを入れるのです。それから、1度台座を切り落とします。その理由は後ほど。
そして、切り落とし、切込みを入れた爪の台座を先のとがった鉛筆のような棒で、上から叩きます。
そうすると、不思議なことに5本の爪が出来上がります。斜めに入れた切込みのお陰で爪がばらけずに済みました。
ダイヤモンドを乗せてみましたが、まだまだ爪が太くて不細工です。ダイヤモンドを外して、再びさきほど切り落としたはずの棒に付け直します。
このロー付けといわれる作業ですが、火の加減を間違えると、地金が溶けたりうまく接着出来なかったりと見かけより簡単ではないんです。
それにこのバーナーは酸素を使って火力を上げているため、調整がなれないと難しいのですがまさに道具と一体です。
糸ノコで軽く切り込みを入れ、それを基準にまず荒くヤスリで削り次に細いヤスリで爪を細くします。
ひたすら「削る!削る!削る!」の繰り返しです。やっと終わると爪の形が見えてきます。
始めは何の形か分かりませんが、最後に見るとまさに「爪!」あの地金の塊りからこの爪が出来るなんて不思議なんですが指輪作りは これで終わりません。
まだ爪が太いので電気ドリルの先をヤスリに変えて細くしていきます。
出来上がったのがこの5本爪の石枠。始めと比べると物凄く細くなりました。石枠作りはこれで終了。
次は指輪の腕を作っていきます。
指輪の腕作り
指輪の腕を作るのですが、決して始めから腕があるわけでは ないので、もちろんプラチナの塊りから作ります。
今回作るデザインは左の5本爪の指輪。腕のデザインは少し太めなので細くします。
この写真の左の指輪、5本爪の台座で腕が右下の6本爪のように、ティファニーアームと呼ばれる絞り込まれたデザインを作ります。
熱して叩き、また熱して叩く。これの繰り返しです。指輪作りのほ とんどがこの基本作業なのです。この作業を怠るといい指輪は出来ません。
思い通りの細さになったところで、型に入れ叩いて形を出し、丸く整形。ヤットコといわれるペンチのようなものだけで真円にしていきます。
軽く整えある程度真円になったところで、芯棒と言われる棒に入れ木づちで叩いていきます。実はかなり重要な作業でして、叩いた時の音を聞きながら、指輪が本当に真円なのか確かめているのです。
少しでも音が違ったりすると、そこを軽く叩き芯棒との隙間をなくし本当の真円にしていくのです。
最後磨いて腕つくりは完成。そして、先ほど作った石枠と腕を接合します。
試しにダイヤモンドを載せて感触を確かめます。
爪の内側を磨き腕の部分も磨きます。爪の内側は、ダイヤモンドを留めてしまうと磨けないので一番念入りに磨きます。
全体的に地金が締まりツヤも出てきました。
ダイヤモンドを留め、仕上げます
ダイヤモンドを留める場合もやはり準備から。内側を磨き、糸ノコで爪の一本一本にダイヤモンドを引っ掛ける「溝」を彫ります。