婚約指輪作りで削った粉はどうなるのか?

チリも積もって
婚約指輪を作る時に、地金を切ったり削ったり磨いたりして綺麗になる訳なんですけど、実はその時に出るプラチナや金の粉。
この粉は捨てられていると思いますか?そんな訳ありませんよね。
実はこの粉って凄い量になるんです。削った地金の粉は掃除機で吸いますし、仕事台の上の地金も全部毎朝掃除しています。
それを月一くらいでまとめるんですけど、本当にチリも積もればでもう数本指輪が作れるんです。
しかし、集めただけの地金は使えません。
じゃあ、その地金はどうなるのかというと、集めてから再生成します。集めた地金はプラチナもあれば18金も、そして一緒に吸い込まれたゴミもあるからです。ゴミは燃やしてしまうので、その残りが地金という訳です。
ボクはこの作業が好きで毎回見ていました。考えてみれば火を使う作業が好きだったのかも知れません。
ミルクパンみたいな容器にゴミと一緒に地金の粉をまとめて、下から火にかけると煙が出てきて炎に変わります。その炎が収まるとゴミは全て燃え尽きて地金の粉だけが残るんです。
そして、そういった再生業者に出すと全ての地金がそれぞれ別々に分類され、地金別の重量が出てくるようになっています。
新たな地金で婚約指輪作りが出来ます。
そうして再生成された地金を新たな地金として、次のジュエリーを作るんです。うちがリフォームなどで地金を再利用するという意味は再生成してから利用するという意味なんです。刻印が入っているからと言って、本当にその地金とは限りませんからね。
月に一回程度にまとめて再生成に出すくらいですが、プラチナ・金・銀・銅などに分かれて出来てくるとなかなか面白いんです。
宝石屋の職人はチリひとつ無駄にしません。
職人さんは地金なども無駄にせず再利用していているので、汚く見えても綺麗にしています。宝の山を見逃すようなもんですからね。
それに、本当に塵も積もれば山となるという言葉そのまま実感できますからね(^^)
宝石職人の仕事場というのは汚いんですが、意外と綺麗に保っているんですよ。