ピンクダイヤで失敗して年収が吹き飛んだお話。
ピンクダイヤモンドはなぜ高いのか
ピンクダイヤモンドは世界で最も希少なダイヤモンドのひとつです。無色透明なダイヤモンドでさえ宝石質のものは稀ですが、ピンクという色が加わると流通量は桁違いに少なくなります。
価格も当然跳ね上がり、同じカラット数でも無色ダイヤの数倍から数十倍になることも珍しくありません。
そんな高額な石だからこそ、業界での取り扱いも特殊になります。
宝石業界は委託販売が基本です
宝石業界では在庫を自社で抱えて販売するお店は大手に限られており、多くは委託販売で商売が成り立っています。商品を売ってくれる人に貸し出して、売れたら代金を受け取るという仕組みです。
高額な商品を大量に仕入れるリスクを避けられること、そして持ち込む人が違えば商品のラインナップも広がるという点で、理にかなった形態です。ボクも長年この仕組みの中で仕事をしてきました。
肝心の失敗談
ある日、委託先の方がやってきて、いつものように商品を貸し出す伝票を書いていました。宝石を目の前に置きながら書いていたにも関わらず、価格を一桁間違えて記入してしまったんです。
数週間後、商品を回収して整理していると、そのピンクダイヤの指輪が売れていました。喜んでお礼を言いながら納品書を書こうとして、委託時の伝票を確認した瞬間——
世界の音がノイズキャンセリング機能がオンになったように、全ての音が聞こえなくなりました。すぐに背中から汗が流れてきて、やっと仕入れ伝票を見直しました。
上代1500万円近くする商品を、150万円で貸し出していたんです。
社長に「どうした?」と聞かれて全てを明かすと、社長が「なに?」っとなって事態が飲み込めてきました。ボクは顔が熱くなって真っ赤になって、しばらくボ〜っとしてしまいました。
お客さんから入ってくるのは150万円だけ。1350万円が丸ごと赤字です。お客さんはとても良い買い物をしたと思います。
社長夫婦に救われました
委託先の方は長い付き合いだったこともあり、事情を理解してくれました。利益ゼロで支払いをしてくれましたが、大赤字には変わりありません。
それでも社長は怒りませんでした。
「君のミスは俺のミスだから」
当時は社長と2人だけの会社でした。社長も相当なショックだったと思います。でもそういう仕草は一切なく、経理をしていた奥さんも「良いのよ。もう終わった事だし、しょうがないじゃない。」と言ってくれました。
赤字分は会社が持ってくれて、ボクの給料も変わりませんでした。
今でも思い出すと恐ろしい
あの時の事を考えると今でも背筋が冷えます。ピンクダイヤモンドという高額で希少な石だったからこそ、金額のインパクトも大きかった。
その後は自分なりにチェック体制を作り直して、ルーティンだと思わず毎回違う目で確認する習慣をつけました。
自分に従業員がいたとして、同じ対応ができるか正直自信がありません。でも、そうありたいとは思っています(^^;)